こんにちは。
はしりびとです。
今回は、新作ランニングシューズの【GEAR語り】をしようと思います!
2020年8月に発売されたランニングシューズ
『HOKA ONE ONE/RINCON2』
を大分解します!!しっかり深く語らせていただきます!
【ブランドについて】 2009年にフランスで誕生したブランドで、昨今の軽量クッション・厚底ブームを巻き起こした元祖ブランドと言っていいでしょう。その特徴は、類を見ない厚さのミッドソールで、マシュマロのように柔らかいクッション性でありながら、驚くほどの軽量性を感じられます。元トップトレイルランナーが共同で立ち上げたブランドで、「どうすれば長い距離を楽に走れるか?どうすれば下りの負担を少なく走れるか?」というシンプルな悩みを解決するところから始まっています。ランナー目線から出来たブランドなので、ランナーの悩みの本質を理解していることが『HOKA ONE ONE』の最大の強みでしょう。
【RINCONシリーズについて】 『RINCON』シリーズは、最近新しくラインナップされたシリーズです。代表商品である定番『CLIFTON』シリーズ、 HOKA ONE ONE史上最大の超厚底『BONDI』シリーズに続いて発売されたロード向けモデルです。『RINCON』シリーズは、「高いクッション性と軽量性を維持しながらも、少し速いペースでも走りたい」という方に向けて作られています。『CLIFTON』や『BONDI』の次の1足を探されている方におすすめのシリーズです。部活生のジョグ用にもおすすめです。
GEAR語りでは、現役のプロ販売員として、ランナーとして下記を抑えて、わかりやすく誠実にお伝えできるように努めます!
販売員・商品アナライザー・ランナーとして、市場に出回るようなシューズはほとんど履いて体感していますので実体感を語れます!
約束②: 同類商品との比較を語ります
様々なシューズを知り履いているからこそ、似たようなシューズだけど実は異なる特徴を持っているということをお伝えしていきます!
約束③: デメリット(注意点)を語ります
メーカーはいいことしか書きませんので、デメリット(注意点)もしっかり語っていきます!
それでは、お付き合いよろしくお願いいたしいます!
1.ミッドソール素材の大分解
まずは、<販売のプロによる『失敗しないランニングシューズの選び方』>の中でも活用していた4大機能によるミッドソールの評価をしたいと思います。
サブ5~サブ4を目指すモデル【RINCON2】
主要モデル | ミッドソール | クッション | 反発 | 安定 | 軽量 |
HOKA ONE ONE / RINCON2![]() |
MAXIMUM
CUSHION |
★★★★★
5 |
★★★☆☆
3 |
★☆☆☆☆
1 |
★★★★★
5 |
主要モデル | ミッドソール | クッション | 反発 | 安定 | 軽量 |
【RINCON2】を含む『HOKA ONE ONE』のすべてのラインナップの最大の特徴は、
「圧倒的に柔らかいクッション性」と「驚く程の軽量性」を持った超厚底設計
にしている点でしょう!!

その通りです!
『HOKA ONE ONE』以外にここまで厚底クッションを突き詰めているメーカーはないと思います!!厚底クッションの元祖であり、厚底クッションの仕組みを知り尽くしたメーカーと言っても過言ではないでしょう!類似の厚底クッションモデルとは一線を画しているので、まずは《MAXIMUM CUSHION》というクッション材がどういった機能かを比較把握し、そこから更に細かく【RINCON2】の特徴を見ていきましょう!
それでは、次章より今回の『RINCON2』の特徴を分解していきます!!
2.特徴①:このレベルの『高クッション・超軽量』は唯一無二
【RINCON2】の最大の目玉は、HOKA ONE ONEブランドすべてに採用している《MAXIMUM CUSHION》を、脱初心者・中級者レベル(サブ5~サブ4)のシューズにも使用している点でしょう。
同じ脱初心者・中級者レベル(サブ5~サブ4)向けに発売されているモデルのクッション素材と比較分類してみます!
ミッドソール素材 | クッション | 反発 | 安定 | 軽量 |
HOKA ONE ONE / MAXIMUM CUSHION
モデル:RINCON2 |
★★★★★
5 |
★★★☆☆
3 |
★☆☆☆☆
1 |
★★★★★
5 |
NIKE / ZOOM AIR(上段)、REACT(下段)
モデル:ZOOM PEGASUS37 |
★★★★☆
4 |
★★★★☆
4 |
★★☆☆☆
2 |
★★★☆☆
3 |
★★★★☆
4 |
★★★☆☆
3 |
★★★☆☆
3 |
★★★★☆
4 |
|
New BALANCE / FUELCELL
モデル:FUELCELL PROPEL |
★★★☆☆
3 |
★★★★☆
4 |
★★★☆☆
3 |
★★★★☆
4 |
ミッドソール | クッション | 反発 | 安定 | 軽量 |
※その他のミッドソール素材の比較一覧を見たい方はこちら↓

その通りです!!
HOKA ONE ONEの《MAXIMUM CUSHION》のクッション性と軽量性は、他社クッション材と比べても群を抜いて高いのです!!安定性は最も劣りますが、その弱点を補って余りある「ブランドを示す特徴」が最大の強みでしょう!!
細かく整理すると、
・【RINCON2】は、他社を圧倒するクッション性と軽量性を持ちながら、スピードも出せる仕様になっている(サブ3.5くらいまでのペースは対応できる)
・同ターゲット層のシューズと比べて、ここまで高いクッション性を持っているシューズはない(唯一無二)
・しかし、安定性や素材そのものの反発性は高くない
といったところでしょう。

素晴らしい洞察力です!!!!
その通りで、【RINCON2】は、脱初心者・中級者ランナー(サブ5~サブ4を目指す方)に向けたシューズですが、このレベルでは考えられないほどの高いクッション性があります!!
その為、
「初心者のクッショニングシューズ」としても使うことができますよ!!
更には、『上級者ランナーのリカバリー用シューズ』としてもおすすめです!!
↓初心者向けの【CLIFTON7】との比較。実は【CLIFTON7】と【RINCON2】は全く同じ厚み。但し、実走感覚としては、RINCONの方が若干薄く感じる(特に前足部)。

いいところに気付きました!
確かに、《MAXIMUM CUSHION》素材には安定性がほぼありません。似たような素材を使用したモデルの「ASICS/NOVABLASTの《FLYTEFOAM BLAST》」は、日本メーカーの最大の強みのフィット感でこれを解決し、「MIZUNO/WAVE RIDER24の《MIZUNO ENERZY》」は、安定性の高い《MIZUNO WAVE》素材を併用することで解決しました。
HOKA ONE ONEは、<精密なラストによるフィット感>も<別の素材を使用して安定性を高める>という技術もありません。そこで、HOKA ONE ONEは<バゲットシート構造>という独自のミッドソール形状を用いて安定性を高めています。
真後ろから見た写真です。HOKA ONE ONEのシューズは、このように真ん中の部分を凹ましサイドが上がった、掘り込み構造をしています。これをバゲット構造といいます。
人間の足も真後ろから見ると、このバゲット構造と同じように、真ん中が減っ込みサイドが上がっている丸みを帯びた骨格をしています。
この「踵の丸み」を「バゲット形状のミッドソール」にはめこむようにすることで、横にぶれないように安定性を出しています。
※但し、その人の「踵の丸み」と「バゲット形状」が一致するかは非常に難しく、踵が細い方、広い方は上手くはまらいないこともあります。必ず履いて、感じてみてください。

改めてまとめると、【RINCON2】は、
・サブ5~4クラスのシューズとしては、他社を圧倒するクッション性と軽量性を持っている上に、スピードも出せる仕様になっている(サブ3.5くらいまでのペースは対応できる)
・ここまでの厚底クッションがあれば、これから走るような初心者でも履けるマルチなシューズ
と言えるでしょう。
3.特徴②:分厚いのにペースを上げやすいのは何故(その1)
上記の4大機能比較で見たとおりですが、《MAXIMUM CUSHION》に高い反発性はありません。それでも、【RINCON2】は、サブ3.5クラスのペース(1km5分でフルマラソン走りきる、1km4分30秒でハーフマラソン走りきる)まで上げられるののにはしっかりした理由があります。
その1つは、《アーリーステージメタロッカー》という構造を採用している点です。
その前に、<メタロッカー構造>に関して説明しておきます。
以前、【HOKA ONE ONE/CLIFTON7】を説明した記事でも書きましたが、
上記踏まえ【CLIFTON7】について書いた記事はコチラ
↓
《アーリーステージメタロッカー》とは、メタロッカーが生み出す”踵から爪先までの体重移動”の速度をより速くしたテクノロジーです!!
つまり、足が着いた瞬間に止まることなく一気に前に身体を押し進めてくれるので、自然とスピードが出るという仕組みです。
また、【RINCON2】はアーリーステージメタロッカー構造を採用していますが、【CLIFTON7】は通常のメタロッカー構造を採用しています。

そうなんです。見た目ではほとんどわかりません。
【RINCON2】と【CLIFTON7】は、”ミッドソールの厚み”がほぼ同じなので、余計にわかりにくいですね!但し、よく見ると【RINCON2】の方がロッカーの角度がやや急斜担っているのがわかるでしょう。
実際に【RINCON2】で走った感覚としては、
・脚がスイスイ前に出て行く感覚がある
・踵で着地すると、瞬間にして足裏全体に体重移動しているほど速い(踵から中足部までの移動が特段は速く感じる)
が上げられます!

但し、本当にゆっくり走りたいランナーからすると、アーリーステージメタロッカーで体重移動を早くされるとスピードが出過ぎてしまうという欠点があります。
ですので、
・楽に走りたいけど、本当にゆっくり走りたい方は、通常のメタロッカーを採用している【CLIFTON7】がおすすめです
・楽に走りながら、ペースを少し上げたりもしたい方は、アーリーステージメタロッカーを採用している【RINCON2】がおすすめです
4.特徴②:分厚いのにペースを上げやすいのは何故(その2)
【RINCON2】がペースを上げやすいもう1つの理由は、
《インソールの形とその厚み》です。
まずは、「クッショニング」~「レーシング」まで使われている一般的な『アーチサポート』タイプのインソールをご確認ください。

そうです!!
「土踏まず」や「踵」などを添えるように支えて、ブレを少しでも抑えるために、このようなカップ型をしています。素材感としては、足当たりを良くするために、柔軟性のある柔らかいものが多いです。また、『クッショニングシューズ』はクッション性を高めるために厚みのあるものを採用し、『レーシングシューズ』になるほど、薄くして軽量性を高めています。
そして、最近のランニングシューズは、ほとんどがこの『アーチサポート』のインソールを採用し、クッショニングであろうとレーシングであろうとインソールで少しでも脚を守ろうとしています。【CLIFTON7】や【NIKE/ZOOM PEGASUS37】や【New Balance/FUELCELL PROPEL】など初心者~脱初心者レベルのシューズは、ほとんどが厚みのあるクッションタイプのアーチサポートインソールを使用しています。
※最近はこのアーチサポートインソールがかなり注目されており、アーチサポートインソールを専門に扱う『インソールメーカー』も出てきています。クッション性を更に高める『高クッションタイプのアーチサポートインソール』もあれば、 身体がブレないようにしっかり支える『樹脂型アーチサポートインソール』もあります。詳しくは別記事でも書かせていただきます。
次に、【RINCON2】に採用している『フラット』タイプのインソールをご確認ください。

その通りです!
さっきとは正反対で、【RINCON2】に採用しているフラットタイプインソールは、土踏まずや踵を支えてくれるサポートは一切ありません。また、厚みもかなり薄くなっています。
要は、全くサポートがない真っ平らなインソールです。
しかし、
このサポートのなさこそがスピードを出せる秘訣
なのです。
アーチサポートインソールは、「土踏まず」や「踵」がブレないように勝手に支えてくれるので、自分の力を入れなくても安定して走れるようにしてくれるのです。楽に走れる非常に有能な機能です。但し、支えられすぎて甘え過ぎるがゆえに、アーチサポートインソールは足裏の力の入り方が弱くなります。足裏に力が入らなくなると、蹴り出しの力が弱くなり、スピードは上がりにくくなります。(特に、厚みが合って柔らかいタイプのアーチサポートインソールほどそのようになります。)
一方、フラットタイプインソールは、上記の通り全く支えてくれるサポートがありません。支えがない分、自分の足裏の力でブレないようにしようとします。足裏に力が入るようになると、蹴り出しの力が強くなり、スピードが出しやすくなります。(特に、厚みがないタイプほど力はだしやすくなります。)
下記の簡単なテストをしてみましょう!!
①まずは、【テストを受ける側の人(体験する人)】は、肩幅くらいに開いて立ち、柔らかいアーチサポートタイプのインソールに乗ります。(土踏まずや踵が盛り上がっているインソールならOK)
②姿勢を真っ直ぐ、目線を前に向けた状態で、身体の前側で両腕をおろした状態で手を組んでください。
③次に、ペアのもう1名は、【テスト受ける側の人】の手の平に拳を乗せ、真上から真下に押すように力をかけていきます。
→この時の足裏の力の入り方を覚えておいてください。(アーチサポート)
④次は、フラットタイプのインソール(なければ何にも乗らない状態でもOK)で、①~③を同様に行います。
→この時の足裏の力の入り方を覚えておいてください。(フラットタイプ)
↓テストイメージです
おそらく、フラットタイプのインソールの方が力がいれやすく、しっかり足裏で踏ん張りが効いたかと思います。これこそが【RINCON2】がスピードを出しやすい理由です!!

いい質問ですね!!メリット・デメリットにするとわかりやすいのですが、
メリット:足裏に力が入りやすい分、蹴り出しがしやすくスピードを出しやすい
デメリット:足裏の力を使うので、疲れやすい
【アーチサポートのインソール】
メリット:楽に脚や身体を支えてくれるので、疲れにくい
デメリット:足裏に力が入りにくい分、スピードを出しにくい
要は、フラットタイプのインソールはスピードを出しやすいが疲れやすいというメリット・デメリットがあるのです。その為、多くのシューズはこの「疲れやすい」というリスクを回避するためにアーチサポートインソールを採用しているのです。フラットタイプを採用しているのは、記録を出すことに重きを置いたサブ3以上のシューズ多い傾向です。
※決してアーチサポートインソールは悪いインソールではありません。
ただ、
【RINCON2】は、フラットタイプインソールの疲れやすいという欠点を厚底クッションの《MAXIMUM CUSHION》でカバーできます。
守りながらもスピード出せるシューズとして、【RINCON2】は使い勝手の良いシューズと言えるでしょう。
5.まとめ
どうでしたでしょうか?!
『RINCON2』のポイントや良さが伝わりましたでしょうか?
伝わったならば幸いです!
改めて、ポイントを下記にまとめさせていただきます!

1.このレベルでの『高クッション・超軽量』は唯一無二
・【RINCON2】は、他社を圧倒するクッション性と軽量性を持ちながら、スピードも出せる仕様になっている(サブ3.5くらいまでのペースは対応できる)
・同ターゲット層のシューズと比べて、ここまで高いクッション性を持っているシューズはない(唯一無二)
・『初心者のクッショニングシューズ』、『上級者ランナーのリカバリー用シューズ』として使用することもできる
・<バゲットシート構造>という独自のミッドソール形状を用いて安定性を高めている
2.アーリーステージメタロッカーで、分厚いのにペースを上げやすい
・《アーリーステージメタロッカー》とは、メタロッカーが生み出す”踵から爪先までの体重移動”の速度をより速くしたテクノロジーである
・通常のロッカー構造と比べても勝手にスピードが出せる(足がスイスイでていく)
・踵で着地すると、瞬間にして足裏全体に体重移動しているほど速い(踵から中足部までの移動が特段は速く感じる)
・本当にゆっくり走りたい方は、【CLIFTON7】がおすすめ
3.インソールの厚みと形状で、ペースアップをしやすい
・全くサポートがない真っ平らなインソールだからこそ、足裏に力が入りやすく、スピードを出しやすくなる
・足裏に力が入るようになると、蹴り出しの力が強くなり、スピードが出しやすくなります。(特に、厚みがないタイプほど力はだしやすくなります。)
・フラットタイプのインソールはスピードを出しやすいが疲れやすい
・【RINCON2】は、フラットタイプインソールの疲れやすいという欠点を厚底クッションの《MAXIMUM CUSHION》でカバーできる
※走りを助けるサポート力が豊富なモデルです。たまには、サポート力をおとした従来タイプのシューズで足を使うようにしてあげることをおすすめします

最後に、他の商品との比較を明記した<総合チャート>で、『RINCON2』の位置関係を把握しておきましょう!!下記をご覧下さい!!
※下記のPDFファイルをダウンロードしてもらえれば、全体で綺麗に見られます!
↓
以上で、『HOKA ONE ONE/RINCON2』の商品レビューは終了です!!
店頭で、是非『HOKA ONE ONE/RINCON2』を試履きし、その特徴を体で感じてみてください!!
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ランニングが大好きで、大手スポーツ店のランニングコーナーで働いて10年『はしりびと』です。多くの商品を使用体感し、全国の店員へのランニング知識の指導、ランニング新製品のアナライザー(製品特徴を分析する仕事)などをしております。ランナーとしても、サブ3、サブ9を達成。夢は【楽しく健康にランニングをお手伝いすること】です。