こんにちは。
はしりびとです。
今回は、
【販売のプロが教えるランニングシューズの知識を学ぼう《機能編》】
STEP3-1:ブランド別の主要クッション材を知る
についてです!
このテーマは、全3STEPで語らせていただきます!
概要は↓の記事を読んでみてください。
1.はじめに
STEP2では、ランニングシューズの2つの目的【パフォーマンス向上】と【怪我防止】を説明し、その目的を出来るだけ多くのランナーに提供できるよう、各社9大機能の向上を目線に企画製造していると伝えました。その中でも、4大機能【クッション性】【反発性】【安定性】【軽量性】が特に重要で、それぞれの役割も解説させていただきました。
そして最後に、『商品単品の違いは、各社が使用する【ミッドソール素材】を把握し、4大機能別でポイント付けすることで知れる』と伝えさせていただきました。
まだの方は下記を読んでチェックしていきましょう!
※ランニングシューズの4大機能を学ぼう!!
STEP3では、
いよいよ核心に迫っていく為の最終準備段階、【ブランド別のミッドソール素材のポイント付け】をお伝えしていきます!
その前段階として、今回は【主要シューズブランド5社の代表ミッドソール素材】を紹介しようと思います!ポイント格付けの前に知っておくことで、違いがより伝わりやすくなりますので、まずは素材を知ることから始めてみましょう!
STEP3は非常に重要!!ですので、しっかりと覚えておいてください!!

それでは、早速始めていきます!!
2.『ASICS』の代表的ミッドソール素材
まず、ASICSが主に使用するミッドソール素材を紹介します!
ASICSの代名詞と言われる超有名な素材です。最近のクッション材の中では少し重たいですが、クッション性・安定性が非常に優れたバランスの良い素材です。 ②FLYTEFOAM(フライトフォーム) ASICSが持つ素材の中で、軽量とクッションに富んだクッション材です。オールラウンドで良くも悪くも癖がないのが特徴です。 ③FLYTEFOAM BLAST(フライトフォームブラスト) 軽量・クッション・反発に富んだ素材で昨今トレンドになっているタイプです。安定性にやや欠けるものの、フワリと弾む素材ですので履き心地は気持ちいいです。 主要素材はこの3つです!! ASICSは全体的に4大機能のバランスがいい素材が多い と言えるでしょう! そうですね! メーカーのページには他にもいっぱい書いていると思います。 例えば、<FLYTEFOAM PROPER(プロペル)>、<FLYTEFOAM Lyte(ライト)>、<α-GEL(アルファゲル)>、<T-GEL(ティーゲル)>、<γ-GEL(ガンマゲル)>などなど。。 これは、追いかけるとキリがありません。 もちろん、皆様がお客様にランニングシューズを販売する立場であれば、知っておくべきだと思います。ですが、単純にシューズの違いを大まかに見分ける分には、ここまで覚える必要は全くありません! なぜなら、現在のASICSの場合、ほとんどのミッドソール素材が<GEL>か<FLYTEFOAM>の派生で出来ているからです! そして、その中でも<FLYTEFOAM BLAST>を除いては、思っているほど劇的な差はありません!!ですので、3つの特徴を把握できれば十分なのです! そうです! 繰り返しになりますが、ASICSで覚える素材はこの3つで十分です! 次に、MIZUNOが主に使用するミッドソール素材を紹介します! ASICSの『ゲル』素材と同様に、クッション性と安定性のバランスが良い素材。クッション材とクッション材の間に”波型のプレート”を挟み込む構造を言います。 ②MIZUNO ENERGY(ミズノエナジー) MIZUNOが打ち出すトレンドタイプの素材で、軽量・クッション・反発に富んでいるのが特徴です。安定性にやや欠けるものの、柔らかく弾む素材は今や各社マストで持っています。 主要素材はこの2つです!! MIZUNOもASICS同様に4大機能のバランスがいい素材が多い と言えるでしょう! そうです!良いところに気がつきました! 各社はミッドソールに様々な機能を持たせるために『素材』を改良して配置していますが、MIZUNOは『構造』で機能を持たせるというアプローチをしています。 その構造とは、ミッドソールのクッション材の中間ぐらいに『波(ウェーブ)型の樹脂材でできたMIZUNO独自のプレート(板)』を内蔵するというものです。 それが『MIZUNOウェーブ』です! そして、MIZUNOウェーブは、4大機能を高めるのに非常に効果的なのです! 更に、波(ウェーブ)型構造は、構造的に非常に安定すると言われています。強い負荷がかかっても潰れにくく、実際身近なところではダンボールにも使われています。 ↓ダンボールは重いものを入れても壊れにくい。また破こうとしても簡単には破けないように出来ている。 そして、MIZUNO独自の波型角度によりクッション性・反発性が共存できるように仕上がっています。また、素材ではなく構造なので軽くできます。 更に、この構造のメリットは、カテゴリー(クッショニング~レーシング)に合わせて素材を開発したり変更したりする必要がない点です。この構造ですべてのカテゴリーに対応できるのです!! 非常に万能な『MIZUNOウェーブ』を覚えておいてください! 次に、NIKEが主に使用するミッドソール素材を紹介します! NIKEと言えば”エアー”を想像されると思いますが、ランニングシューズ用に設計されたエアー素材が「ZOOM AIR」です。重たいもののクッションと反発に優れた素材です。 ②REACT(リアクト) 軽量でクッション性に優れた素材です。NIKEが持つミッドソール素材としては各性能がバランスよく備わっているのが魅力です。 ③ZOOM X(ズームエックス) NIKEのトップモデルに使われることの多い素材で、超軽量・超高反発のミッドソール素材です。欠点を覚悟の上で作られた素材は凄まじい推進力を作ってくれます(耐久性は難点あり) NIKEはこの3つです! 新素材の開発・トレンド素材を生み出すことが多いのがNIKEです! ちなみに、『エアマックス』もエアーを使っていますが、ランニングのエアーとは全く異なります! スニーカーのエアーは普段履きとしての仕様になるので、履き心地が柔らかく反発性はほぼありません(エアーの空気密度を低くしている) 一方、ランニングシューズのエアー(ZOOM AIR)はクッション性はやや落ちますが、反発性に非常に優れています!(エアの空気密度を高くしている=空気をいっぱい入れているということ) ※ランニングの『ZOOM AIR』のエアは、外見からは見えない部分にあるので、ミッドソールに【ZOOM AIR】の文字が書かれていればランニング用と覚えておいてください! また、すでに書いた通り新しいミッドソール素材開発が多いのもNIKEの特徴です。 最近よく使用されている軽量クッション材【REACT(リアクト)】 トップモデルのシューズに使用されている軽量高反発材【ZOOM X】 は覚えておいてくださいね! 次に、ADIDASが主に使用するミッドソール素材を紹介します! 今は見る機会が減りましたが、数年前にランニング業界で話題をさらった素材です。今や当たり前となりつつある「軽量・クッション・反発」のトレンドを作った素材と言えるでしょう。 ②Light strike(ライトストライク) 最近のアディダスランニングシューズによく使われている素材で、クッション・安定・軽量のバランスに優れている特徴があります(BOOSTほど反発しない) ③Light strike PRO(ライトストライクプロ) NIKEの『ZOOM X』とまではいきませんが、前述のLight strikeに反発の要素を大きく加えた素材です。弾けるような反発で高い推進力を生みだします。 ADIDASはこの3つです! NIKE同様に、新素材の開発・トレンド素材を生み出すことが多いです! そうです! 『ブースト』は昨今のNIKEブームが来るまでは、ランニング界をほぼ独占していたような素材ですので、ご存知の方も多いでしょう! 今は『NIKEの新素材使ったシューズ』や『カーボン系シューズ』がトレンドになっていますのであまり注目されることはなくなりましたが、<世界記録><青学優勝>を支えていたシューズとしてとても話題になっていました! その特徴は、なんといっても<クッション性と反発性を高いレベルで両立しながら、圧倒的に軽い>というものです。 当時のランニング市場にはないタイプで(当時トップランナーが履くものは薄くて硬いが常識でした)、賛否があったことも事実でした。ですが、上記の通り結果が出てきたこともあり、最近ではBOOSTのような「軽量・クッション・反発」の3拍子の揃ったミッドソール素材が圧倒的に増えてきています。それらはBOOSTを真似たといっても過言ではありません! 少し安定性にかけた素材ではありますが、クッションと反発(スピード)を求める方には相性がいいです!是非、覚えておいてください! また、そのBOOSTの弱点を補うように、安定性を加えることを念頭に開発されたのが、最近のADIDASシューズで多く使われるようになった【Lightstrike】という素材です! そして、NIKEの『ZOOM X』のように反発に更に優れた素材【Light strike PRO】も出ていますので注目です! これも是非覚えていて欲しいですね! 次に、New Balanceが主に使用するミッドソール素材を紹介します! New Balanceが持つトレンド素材で、「軽量・クッション・反発」に優れています。NIKEの『ZOOM X』まではいかないとも高い反発力と柔軟性は魅力です。 ②FRESHFOAM(フレッシュフォーム) クッション・安定・軽量に優れており、非常にバランス取れた素材です。ミズノの『MIZUNOウェーブ』の様に形状による性能発揮が軽量のポイントです。 New Balanceはこの2つです! 日本メーカーと海外メーカーの良いところを併せ持っているのが特徴です! ランニング業界において、今までの4社と比べると確かに印象が薄いですよね。 ですが、New Balanceが企画製造しているミッドソール素材はなかなか秀逸です! まず、クッション・安定・軽量に特化した素材【FRESHFOAM(フレッシュフォーム)】については、『ASICS/ゲル』や『MIZUNO/ミズノウェーブ』のような高い安定性を誇っています! NIKEやADIDASも安定性を高めた素材は持っていますが、それでも日本メーカーのような安定性を生み出せていません。ですが、この【FRESHFOAM】はそれだけの安定性を持っている上に「軽い」です! そして、軽量・クッション・反発に特化したトレンド素材【FUELCELL(フューエルセル)】は、NIKE・ADIDASのような弾けるような反発性を持っています! 日本メーカーが持つトレンド素材は、「クッション性」に重きがある傾向があります。一方、海外メーカーが持つトレンド素材は、「反発性」に重きがある傾向があります。もちろん、【FUELCELL】は後者と言えます! その上で「フレキシブル(柔軟性)」が高いので誰が履いても気持ちいいんです! これがNew Balanceの良いところであり、日本メーカーと海外メーカーの良いところを併せ持っているといった理由です! その通りです! 良いところをとって、更にそれを独自にアレンジしているのがまた秀逸ですね!New Balanceのランニングシューズは想像以上にイイですよ! 今回も長くなってしまいましたので、要点だけまとめます! ・ASICS:全体的に4大機能のバランスがいい素材が多い ①クッション・安定のバランスが良い:【GEL】 ②軽量・クッションが高く癖がない:【FLYTEFOAM】 ③軽量・クッション・反発のトレンド素材:【FLYTEFOAM BLAST】 ・MIZUNO:ASICS同様に4大機能のバランスがいい素材が多い ④安定・クッションのバランスが良い:【MIZUNO WAVE】 ⑤軽量・クッション・反発のトレンド素材:【MIZUNO ENERGY】 ・NIKE:反発素材が多く、新素材・トレンド素材を作り出すことが多い ⑥クッション・反発に優れた素材:【ZOOM AIR】 ⑦軽量・クッションでありバランスも良い:【REACT】 ⑧超軽量・超高反発の最高峰:【ZOOM X】 ・ADIDAS:NIKE同様に新素材・トレンド素材を作り出すことが多い ⑨軽量・クッション・反発の代表的素材:【BOOST】 ⑩クッション・安定・軽量のバランス型:【Light strike】 ⑪クッション・反発性を高次元で備えている:【Light strike PRO】 ・New Balanace:日本メーカーと海外メーカーの良いとこどり ⑫軽量・クッション・高反発のトレンド素材:【FUELCELL】 ⑬安定・クッション・軽量のバランスの良い素材:【FRESHFOAM】 まずは、この13個のミッドソール素材の名称を覚えてみてください! そして、まとめで簡単に書いたメーカー毎の特徴・ミッドソール毎の特徴を予習がてら覚えてみてください!結構似ている素材が多いので、思っているよりも覚えやすいと思います! ※その他のメーカーのものもまた随時紹介していきます! 次回は、この13個のミッドソール素材について、『機能ポイント一覧チャート』を発表しようと思います!!是非楽しみにしていてください! (これを覚えるとシューズ選びにめちゃくちゃ役立ちます!) それでは、各記事をご参考頂き、怪我なく楽しくランニングライフを楽しみましょう!! ↓ブログランキングに参加しています! 『読んだよ!』のポチッとをしていただけるととても嬉しいです!! ランニングが大好きで、大手スポーツ店のランニングコーナーで働いて10年『はしりびと』です。多くの商品を使用体感し、全国の店員へのランニング知識の指導、ランニング新製品のアナライザー(製品特徴を分析する仕事)などをしております。ランナーとしても、サブ3、サブ9を達成。夢は【楽しく健康にランニングをお手伝いすること】です。
3.『MIZUNO』の代表的ミッドソール素材
4.『NIKE』の代表的ミッドソール素材
5.『ADIDAS』の代表的ミッドソール素材
6.『New Balance』の代表的ミッドソール素材
7.まとめ